モティスフォント・アビー Mottisfont Abbey
モティスフォント・アビーは3回目の訪問だ。"Visitor Reception"でメンバーズカードを提示し真っ直ぐ進むと橋がある。ホートン ・ロッジを流れていたテスト川だ。
こちらが少し下流となる。とうとうたる流れに畏怖の念を抱く。Mottisfontの名前の由来となっている泉(font)も湧き出ているのだ。
川の西側に広がる広大な美しい芝の広場の樹齢300年のスズカケの木(The Mottisfont Plane)も健在だ。
何か懐かしい故郷に帰ってきたような心持にさせてくれる優しい光景が広がる(写真下左2枚目)。
モティスフォント・アビーは1201年に建てられた聖アウグスチヌスの小修道院(Augustinian priory)に始まり、ヘンリー8世の修道院解散の後、民間の手に渡り、
その後多くの所有者の変遷と盛衰を経て、18世紀にバーカー ・ミル 家(Barker Mill family)により現在の外観となったものだ。
1934年からモード&ギルバート・ラッセル(Maud and Gilbert Russell)の所有となり、1957年モード・ラッセルからナショナル・トラストに寄付されたのだ。
何はさて置き向かったのはウォールド・ガーデン(Walled Garden)だ。小修道院のキッチン・ガーデン(Kitchen Garden)を1972年にグラハム・トーマスのデザインにより、 300種以上のバラを植栽したローズ・ガーデンなのだ。もちろんバラだけでなく、潅木、宿根草や一年草の花たちと組み合わせ自然な雰囲気に植栽している。
ウォールド・ガーデンの前庭のトイレとキオスクのあるエリアに入っただけで衝撃の光景に出合う。むせ返るような芳香も襲撃する。
写真上左は入って直ぐ右側の壁、2枚目が左側の壁だ。見事に対照をなす植栽だ。
その色彩と芳香に酔ったのかゲストは皆、ハイテンションになっている。カメラを構えて右往左往、交わす言葉も上擦り勝ちだ。
かくいう私達も例外ではないのだ。3枚目のトイレの近くに咲くバラを見て「どうしてこんなに花付きが良いの?」、
「トイレの横だから?」などと馬鹿な会話を交わす始末だ。
ウォールド・ガーデンの外の壁際にはその名もグラハム・トーマスのバラもスタンダードに仕立てられ、美しい花を見せている(写真上右、右、下左)。
ここはまだローズ・ガーデンの外なのだ。写真下左3枚も外壁をクライミングするバラたちだ。
ようやくウォールド・ガーデンに入る(写真上右から)。ウォールド・ガーデンは65m四方の四角形の部分とその先の三角形の部分の2つからなっている。
四角形の部分は通路で4つに分かれている。中央部には噴水がある。いつの間にか陽も射し始め暑いくらいだ。
興奮に疲れたゲストがベンチを争うかのようにぐったり座っている(写真右)。
壁にはクライミングのバラが伝う。その枝の誘引具合が自然で無理がない。大いに真似たい。足元は柘植のヘッジで仕切られ、ブッシュのバラや
スタンダード仕立てのバラ、そして、宿根草や1年草、ハーブなどが植栽されている。カンパニュラ(写真上右)、セイヨウオダマキ(写真下右)などが見られる。
色、質感、形が計算されつくし、調和が取れている。
今年の旅は反時計回りが決まりだ。バラに埋もれ、人の波に揉まれて夢遊病者のように彷徨う。
噴水を中心に南北の通りが主軸で入り口から奥の三角形のガーデンに通ずる通路だ。
これに交差する東西の通りはバラが絡むスケールの大きなパーゴラの下を進む通路だ(写真右)。その両端に名物の白いベンチが置いてある。
東端のベンチの後ろの壁のバラはまだ十分な開花ではなかったが。西端の壁のバラが今、正に満開だ。
コンスタンス・スプライ(Constance Spry)という名のバラだ。
ベンチ周辺は写真を撮りたそうな人がうろついている。こちらでは、そんなことはお構い無しにのんびりお喋りをしている人が多いから混雑を極める。
しばらくやり過ごしていると、運良くベンチが空いた。すかさず記念撮影だ(写真上左)。
今日訪ねたザ・マナーハウスもホートン ・ロッジも多くのサイトで”パラダイス”と謳われているが、
そのフレーズは敢えてモティスフォント・アビーのために残しておいた。正にここがパラダイスだ。用意の日本茶など飲んで人心地付く。
中央部は背の高い樹木やトピアリー、丸太を半割りにしたもので組んだラティスなどで高さを出し、足元に潅木、宿根草やハーブなどを植栽した
ベッドが通路に沿って刻まれている(写真下左)。
バラ以外ではクレマチス、ペンステモン、ラムズイヤー、キャットミント、ラベンダー、ジギタリス(写真上右)、ジャーマンアイリス(写真下右)などが見られる。
ウォールド・ガーデンの一番北側、三角形の部分に入る。中央の大きなサークルを八面のアーチで囲ったスペース(写真右)から放射線状に通路が走る。
植栽は基本的に同じだが、よりダイナミックな印象だ(写真上左3枚)。
三角形の2つの角を利用して東屋になっている(写真下左)。お約束のサンダイアルも賑々しく立っている。
バラのオベリスクやラティスも丸太で素朴な雰囲気に作られている。気取らないところがイングリッシュだ。
さて、最後に前2回は見逃した"The Mottisfont Angel"に会っていこう。探し当てた場所はパルテア(Parterre 装飾花壇)の脇の建物と建物の隙間だ。
エンゼルは静かに祈りを捧げていた(写真下右)。作者はロシアのアーティストBoris Anrep、モデルはモティスフォント・アビーの最後の所有者モード・ラッセル。
二人は恋人同士だという。それって不倫では・・・? それはさて置き、エンゼルならぬ妖精が飛び交っていそうなスズカケの木の川縁を歩きパーキングへ戻る。
Address | Mottisfont, near Romsey, Hampshire SO51 0LP |
Telephone | 01794 340757 |
Web Site | Mottisfont Abbey |
オープンの日・時間や入場料は Web Site あるいは
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